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ドン・キホーテのアジア初出店はシンガポール。その海外戦略とは?―TV番組ジパングその先にあるもの―

おとしゃんです。

当ブログの昨日の記事は、「ドン・キホーテ吹田江坂店」。めったに見ないテレビをお風呂で見ていると、「ドン・キホーテ」の文字が。「ドン・キホーテ」アジア初出店として、シンガポール店のオープンまでの様子をとりあげていた。番組名は、テレビ東京系列の「未来世紀ジパング」。シンガポール特集のなかの一部だった。

「日本産・日本製品をより安く」を合言葉に、価格破壊的に進出。大手日系スーパーである「明治屋」の価格を値札で表示し、お得感を謳っていた。その差は4~5割程度安かった。オープン初日のシンガポール人の来客インタビューでは、「色々なものが安い!」「こんな店を待っていた!」と語っている。

 

生鮮食品などの食料品を中心に販売し、驚安を売りにしているにもかかわらず、マグロのカブト焼きは4000円。シンガポールは日本より所得が高いとはいえ、こんなもの売れるのか?と思っていたら、案の定、全く売れなかった。

しかし、ドン・キホーテはそれでよかった。

なぜなら、客がそれを自分と一緒に写真を撮り、SNSでアップしたからだ。

話題をつくり、SNSで拡散する。これは、広告費を使わず、最も効果の高い口コミ手法となる。

シンガポールの人口は560万人。小国ながら、GDPは590万円とアジア1位に輝いている。もちろん、日本より上だ。そのシンガポールをアジア進出の第一号店として選んだ。なぜ、シンガポールを選んだのか?

テレビでの解説はこうだ。シンガポールは、地理的にもアジアの中心で、多様な人種が住んでいる。絶好のテストマーケティングになり、その後が展開しやすいというもの。ドン・キホーテは2号店として年内にタイのバンコクへの出店を考えている。

それでは、テレビの解説にはなかった部分を考えてみたい。

現在、ドン・キホーテの日本国内店舗は、インバウンド(外国人観光客)の集客に注力している。大阪の道頓堀店では、およそ50%がその売上だ。

では、どうしてドン・キホーテは、そこまで海外の人から人気となったのか?

ひとつ言えるのは、最初から知名度が高かったわけではない

ドン・キホーテは10年も前から取り組んでいるのだ。当時、インバウンドという言葉すらなかった時代。外国人観光客誘致といえば、中国人観光客の団体客をいかに誘致するかということにスポットが当てられていた。どうすればいいのか?現地旅行社とつないでくれないか?という問い合わせや依頼が私の勤務している会社にも多くきた。そのほとんどは現地エージェントに相手にされなかったし、提携できるとしてもかなりの値引きを強いられることから断念する企業が多かった。

そんななか、ドン・キホーテは独自路線を歩んだ。団体客ではなく、個人客の誘致に力を入れたのだ。でも、周りは笑っていたよ。いったいどれくらいの人が来るんだ?ってね。ビジネスにならないよって。

ドン・キホーテは、まず最初に海外の旅行展示会に出展した。旅行展示会に来るのは、現地エージェントや旅行好きの一般消費者。そこでPRした。何をPRしたかというと、ドン・キホーテだけでなく、周辺の情報も入れた地図を作成し配った。それにクーポン(割引券)をつけたのだ。1社だけで攻めるのではなく、そのエリア全体を盛り上げようとする作戦だ。

それだけでなく、現地旅行社にもセールスしている。これも当時は、日本のホテルや旅館などが行っていたものの、小売業がなんで?という状況だった。現地からも、ドン・キホーテって知ってる?とよく聞かれたものだ。そんな現地旅行社も、その割引券を個人旅行客相手に配り始めるようになる。ツーリストが実際にクーポンを使用すると、売上額に応じて、キックバックが配布した旅行社へと入ってくるからだ。現在は似たような手法が多く開発され、百貨店やドラッグストアなどで取り入れている。

しかしながら、現地旅行社はニコニコしながら契約するも、当初は配っていなかったように思える。あくまでも、団体が主体で、こちらの買い物に対するキックバック総額の方が圧倒的に多いからだ。ただ市場の流れは、個人型へと移っていき、現地エージェントのビジネスモデルも次第に崩れていく。中国では旅游法の改正もあり、団体旅行に対する規制が厳しくなったのだ。

そんなマーケティングノウハウを活かして選んだのがシンガポール。テレビの解説では、多民族国家として、その多様性に注目したとあった。

私は違うと考える。その理由はこれだ。中華系74%,マレー系13%,インド系9%,(2016年6月)。外務省のシンガポール共和国の民族構成のデータである。そのほとんどが中華系なのだ。これからは、ムスリムイスラム教徒)対応だ!と言っても、注目を浴びるマレーシアやインドネシアから日本へ訪れているのは、中華系なのだ。つまり、ドン・キホーテは東南アジアを攻略するのにシンガポールを選んだものの、その行く末は、巨大な中国市場を見据えているはずだ。

中国市場を狙うには、まずは台湾、香港から入れ!というのが定説だが、ここでもドン・キホーテは違った戦略をとっている。

私は常識にとらわれず、人と違ったことをする会社や人が好きだ。

 

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